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エイリアンVSプレデター(2004) [怪物ホラー]

原題:Alien vs. Predator
監督:ポール・W・S・アンダーソン
出演:サナ・レイサン
   ラウル・ボヴァ

AVP2がいよいよ公開!
ということで興奮のあまり眠れなくなってしまい、手元にあるAVPの1のDVDを見てしまいました。
そいで、ここまでのまとめを(主に自分のために)してみようと思い立ちましたよ。

この先、容赦なくネタバレ。
っていうかあらすじ書いちゃったし。
なので注意してくださいな。


エイリアンは、女性に加えられる性的な暴力のメタファーであると言われている。
エイリアンの幼生(注1)に襲われて逃げ惑うシーンの犠牲者は女性である。そして結果として自身が望まない子を孕み、化け物を産み出すのだ。
ゆえにこのシリーズの主人公が女性であることは不可欠である。
また、出てくる男性陣は比較的紳士的に見える場合が多い。しかし肝心なときに彼らはこれでもかというほど役に立たない。これは正しい。なぜならどう取り繕おうとも、彼らはオス=犯す性という潜在性から逃れられないからである。
(しかしエイリアンの姿かたちは「メス」だ。卵をうみだすひときわ大きなエイリアンはクイーンと呼ばれる、言わば女王蜂である。女性への性暴力のメタファーが女系であるという矛盾はどう捉えたらよいのだろうか?)

注1:正しくは幼生ではなく中間体であるらしい。卵から飛び出し人の顔を覆って体内へ侵入することからフェイスハガーと呼ばれている。

対するプレデターは「オス」である。
狩猟民族としてのたたずまい。
武器をもった、狩るに足るものだけを相手にする矜持。
狩った獲物をディスプレイし、勝利の刻印を刻む。
知性と文明を感じさせ、儀礼と規律を重んじ、勇敢でもある。
これらは全て我々の社会で「男」であるための典型的条件である。
(対する言説として女は感情的・本能的だ。女は利己的だ。女は守られるものだというものがある。)

その2種が直接対決をする「エイリアンVSプレデター(AVP)」は男女の関係におけるメタファーであるとも読み取れるだろう。以下、AVP本編を参照しつつ、どのような男女観が描かれていたのかを確認したい。
1.エイリアンクイーンがプレデターに飼われている
 おおまかなストーリーとしてはプレデターが成人の儀式をするために、地球にある古代ピラミッドでエイリアンを放ち、狩りを通して成人と認められる通過儀礼を行う。そこに探検にきた地球人が巻き込まれちゃいました、というもの。不測の事態によりエイリアンが暴走していたものの、基本的に「メス」であるエイリアンの生殖を管理しているのは「オス」であるプレデターなのだ。ここには、動物としての雌雄以上に、文化としての男女の姿が見えるような気がする。

2.分断される女
 「オス」は「メス」を叩きのめす。「メス」もかなり強くてプレデター側にも被害はかなりでていたものの、ここで見られるのは、オスとメスの敵対関係である。それでこそAVPの面目躍如。よっ!と思っていたら。
探検家の生き残りである主人公(もちろん女性)がプレデターの側についたのである。主人公はもう物凄く大活躍し、プレデターの戦闘の手助けまでしてしまうほどの男前なのだが、やっぱり気になってしまった。
つまり「オス」に逆らう「メス」は粛清されるが、「オス」の庇護を乞い、協力し、挙句の果てにオスの文化に染まる(主人公は通過儀礼であるエイリアンの酸の血液での身体へのマーキングを受け入れる)「メス」は、仲間と認められる。つまり「女は黙って男に従え」と、そういうことなのだ。

AVPのラストシーンでは、死闘の果てに命を落としたプレデターが仲間の宇宙船に引き取られて地球を離れていく。その横たわる腹を食い破って出てくるエイリアン。
エイリアンの性質は寄生体となる生物に依存するそうなので、AVPに出てくるのはエイリアンとプレデターの子どもとも言える、まさに究極の化け物であることが予想される。
2種間の子は対立していた男女関係に和合をもたらすのか?
それとも新たな対立を呼ぶだけなのだろうか?
AVP2で何が描かれるのか、非常に楽しみではある。

<備考>
本文中に、いわゆる「フェミニスト的」文脈で男性・オス・プレデターの立場をなじるような表記がありますが、私はプレデターもエイリアンも大好きです。
どっちかというとフェミ寄りな私ですが(笑)、この映画をみて「女性蔑視だ!男尊女卑だ!」とわめくほど馬鹿ではないつもりですし、これが監督および製作者の男女観であるとも思っていません。
AVPは両キャラクターの象徴性から考えても、まさにそういったデフォルメされた男女観こそが描かれるべきであるし、深読み(にしてはあからさまだけど)するのが楽しくもあります。

いたんだよね…こういう読み解きを話したら不機嫌になった人。
いいじゃんね。個人の解釈なんだしさ。それに2種のオスメス説は有名なんだし。


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コメント 7

里音★

僕も見に行こうと思ってる(・∀・)楽しみ~♪
by 里音★ (2007-12-28 21:16) 

まったく考えずに見ていたのでとても興味深く読みました。そうか~、オスメス対戦…面白いですね~
2作目公開されたのですね!いつ見に行こう♪
by (2007-12-28 23:33) 

あおせみ

>りおんさ
来ると思ったぜwww

>almondさん
自分勝手に長々書いたのにコメントまでありがとうございます。
2作目、もしかしたら全く当ての外れた方向へ進む可能性もあるのでドキドキですが(笑)
2も見たらレビューしたいと思います(´▽`)
by あおせみ (2007-12-29 06:14) 

プレデリ~

すばらしい解釈だと思います。非常に興味を持ちました。
改めて映画を見直してみようかとさえ思いました
by プレデリ~ (2007-12-29 22:25) 

あおせみ

>プレデリ~さん
ありがとうございます。
オスメス説は結構言われているようなので、エイリアンとプレデターを見るときはいつも気にしてみているのです。
単なる怪物映画以上の楽しみ方ができると面白いですよね。
by あおせみ (2007-12-30 00:47) 

ルナ★ムーン

オスメス説…初めて聞いたでつw
すっげー必死に読んじゃったw
論文的でこれまた「ほおおおおおう!」と感心しつつw
つか…つばたん…
怖いのもグロイのも苦手だったんじゃ…?www
怪物は別物なぬかぃ??(・∀・)
by ルナ★ムーン (2007-12-30 08:00) 

あおせみ

>るなたん
怖いのもグロいのも無理すぎる。
…でもエイリアンとプレデターは好きなの。
怖すぎて夜中におトイレひとりで行けなくなるけど。
家中の電気つけちゃうけど。
素で「ぎゃああああ」って叫んじゃうけど。
by あおせみ (2007-12-30 09:33) 

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