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天使と悪魔(2009)(原作・映画双方のネタバレあり) [サスペンス]

天使と悪魔をみてきました。
以下ネタバレ。

うーん、詰め込みすぎ。
というか映画化自体が無謀だったのではないかな?

ダヴィンチのときも、原作が私好みのトンデモ陰謀説で楽しんだ割りに映画はいまいちだったので、まあ覚悟はしていたのですが。
あのカメルレンゴやってるユアン・マクレガーがどうしても見たかったので行ったのに。
私の見たかったカメルレンゴはそこにはいませんでしたよ。

なんというか、原作はですね。
世界における天使と悪魔(善と悪、科学と宗教)の二元性がテーマになっているのです。
そのなかで、敬虔な神の子で、でも現実的な側面も持ち合わせた若き司祭って設定のカルロ・ヴェントレスカ(カメルレンゴ)に、神々しさみたいなものを感じていたのです。
そのカメルレンゴが、信仰の果てにどうしてああいう凶行に及んだのか、その切実さと、実はその行為が全く見当違いだったときのその絶望感みたいなものが、あの話の一番好きなところだったんですが。

・・・枢機卿を4人も惨殺しなければならないストーリーの関係上、そんな細かい描写する時間もなく。
なんか全体に説得力がない感じになっていましたよ。
原作だと、カメルレンゴの行動は、信じていたファーザーに子どもがいた!神に仕える清い身じゃないなんて!神への(そして信じていた自分への)裏切りだ!って思ったことが基点になってるんですが。
実はその子どもとは自分のことで、母も元シスターだけど科学(医療)の力をかりて、禁欲の誓いを守ったまま、子どもを授かっていた・・・っていう科学と宗教の和合というところにうまく落ちているんですけどねえ。
それを知らずに法王殺しと父殺しの罪を、宗教的正義と信じて(信じてたのかな?それとももう狂ってたのかなあれは)背負ってしまったカメルレンゴが可哀想で良かったのですよ。

なのに映画だと、あそこまでしでかした動機が、科学の台頭で宗教が危うくなることへの焦り?・・・みたいにしか読めないわりに、セルンのエピソードをごっそり抜いてるから、反物質の何が神への冒涜なのかが全くわからない仕上がりになってるし。
結局うやむやの果てに、法王になりあがるための裏工作だったの?みたいに解釈されても仕方ないような、小悪党に成り下がってるよね。
自分で仕掛けた爆弾、自分の演出で空に放って、パラシュートで降りてきて「彼は聖人だ!」とか言われてるの見たら、そうにしか見えない。(実際は、枢機卿たちがかなりこじつけてカメルレンゴを法王にしようとしてたので、カメルレンゴにその意図があったとは思えないけど)。
あと、細かいポイントだけど原作で、あとから、一瞬だけカメルレンゴが法王に選出されていたことがわかるシーンもすごく好きだったのに。なんかそれも枢機卿たちの会議中風景みたいな、野暮ったい演出に変えられてたし。

あと、父代わりの法王を亡くしたカメルレンゴと、最愛の養父を亡くしたヴィットリアの境遇のゆるいシンクロ感とか絶妙だったのに。
そもそも亡くなったのはヴィットリアの養父→同僚に変更されてたしね。
映画化としては仕方ない。
仕方ないのはわかっているが、じゃあ映画化すんなよ。
って思っちゃうんだよなー。

あ、あと、あの実行犯、誰(笑) としか言いようのない中途半端感もなしだよねえ。
めがねかけたときの顔が、やたら私好みだったけど。

そもそも、個人の事情も、宗教と科学の対立っていう背景も壮大で、その背景こそが作品に魅力を与えているこの作品を、映画化する意味はあったのかな。
確かに、「誘拐された4人の枢機卿!ローマ法王選出の影にイルミナティの陰謀!」みたいなわかりやすいハリウッド映画性はあるんだけど。
イルミナティとか聞くと、トンデモ的な意味でわくわくする私みたいな人は、世界中に掃いて捨てるほどいると思うので、気持ちはわかるんだけど。うーむ。

しかし原作のカメルレンゴのイメージに、ユアンはあまりにぴったりしすぎている。
でも、今回はカルロって顔していなさすぎて、映画の役名はパトリック・マッケンナに変更になっていたようです。
パトリックなら納得の顔だね。
・・・でも実際、原作でも映画でも本名あんまりでてこないから、カメルレンゴでいいとおもう(笑)

オビワン(スターウォーズ)のときも思ったけど、ユアンは聖職者とか求道者の合う顔だよね。
本人の中身はちょっとぶっとんでるけど。
なんというか、清廉な神々しさを感じる。
あの顔で、「映画で脱ぐの大好き☆」ていうか「脱ぐシーンないの?ないの?」って言ってたエピソードとか持ってるギャップもまた凄いと思います。
大好きな役者さんのひとりです(*´ω`*)

ってトム・ハンクスについて一言も触れないまま感想おわっちゃったよ(笑)

あ、あと忘れてた。
建築物やら街の風景やら彫刻やらを見ながらストーリーを追えるという点では映画は素晴らしいと思います。
原作の挿絵だとおもえばとても素晴らしい作品じゃないでしょうか(笑)
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