SSブログ

es (2002) [サスペンス]

1970年代に実際に行われた
囚人と看守の社会心理学の実験を元ネタにしたドイツ映画。

監督:オリヴァー・ヒルシュビーゲル



公開時に映画館で見ました。
で、はっきりいってトラウマだったので、ケーブルで録画したまま放置してたんですけれど、
思い切って作業しながら見てみました。
……記憶よりひどくなかった。

・実験について。
実際の実験も、囚人と看守役に分かれて2週間のロールプレイをするもの。
でも、精神的に追い詰められた人が続出して途中で中止になった…と心理学の授業では習ったよ。

同じようなので、ミルグラムの実験ていうのがある。
被験者は、隣のブースで声だけ聞こえる生徒役(実験のサクラ)に問題を出して、不正解だと電流が流れるボタンを押すように言われる。(生徒役はサクラなので、本当は流れてない)
不正解が続くと電流設定はどんどん強くなって、生徒役の悲鳴が聞こえるんだけど、被験者のそばには実験監督者(権威のある者)がいて、「続けてください」「実験のために続けるべきです」と言葉だけで促す。
そうすると最終的には、別に脅されたわけでもないのに、多くの人が「危険」って書いてあるレベルの電流ボタンまで押しちゃうんだそうだ。
囚人と看守の実験も、ミルグラムの実験も、善良な一般人が「権威を持って弱い立場の者に接する状況」や「権威のある者に、非人道的なことをするように言われ、大義名分がある状況」において非人道的なことをしてしまう可能性がある、という結果を示してる。
ミルグラムはユダヤ人で、第二次大戦下のドイツで非人道的な人種政策が成り立ったメカニズムの一端を解明しようとしてこういう実験をしていたらしい。


そういう背景を知っていたからかな、最初に映画館でみたときにものすごく怖かった。
終わってからも30分くらい映画館の近くで動けなくなってたし、帰りの電車で生まれて初めて席を譲られた。
状況が許せば、自分を含めた多くの人が、こういう行動に出るんだっていうことがすごく怖かったんだと思う。
感情移入しすぎた感は否めませんが。

2回目の今回は、家のテレビでみたからか、2回目だからかわかんないですがそこまで怖くはなかったです。
陰鬱な気持ちにはなりますが。
あとドイツ語なのも効果的なんだと思う。
あの生真面目で威圧的な音の響き。

とてもスリリングな娯楽映画として、よくできてるけれど、画面の中で暴走するやつらも、怯えて口を閉ざすやつらも「自分」の可能性のひとつなのかもしれない、と省みた瞬間にすごく怖い映画になってしまう。
邦題のesは、無意識・原始的な本能て感じの意味の心理学用語なので、なかなかいいタイトルつけたなと思う。


主人公タレク役のモーリッツ・ブライブトロイは、ジェフ・ゴールドブラムに似てると思う。
少佐役のクリスチャン・ベルケルはこないだ見たワルキューレに、暗殺計画に加担している側で出ていたようですが…どの人かわかんないわ。
ふたりとも結構かっこよかった(*´ω`*)


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。